精神障害者手帳

【2024年最新版】精神障害者雇用の現実は?本音や退職率や給与等を完全解説。

精神障害者雇用の現実は?

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

「精神障害者雇用を検討しているけど、現実は?」

「精神障害者雇用で働いて、生活できるだけの給与はあるの?」

 

精神疾患の方が生活や能力に障害を感じて、精神障害者手帳を取得したら障害者雇用の事は気になりますよね?

今までの働き方とどう違うのか?現状はどうなっているのか?

そこで今回は、これから精神障害者雇用を検討している方に向けて、公開されているデータや実際の支援の経験に基づき、

退職率や給与、勤続年数も含めて解説していきたいと思います!

また、実際に精神障害者雇用を利用する流れも解説致します。

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  • これから精神障害者雇用を検討している人
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  • 精神障害者雇用のために手帳取得を検討している人
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仮屋 智之顔写真
就労移行支援事業所で支援業務に携わり、精神疾患や障害をお持ちの方のメンタルヘルスケアやキャリアアップのお手伝いをしています。

 

 

精神障害者とは?

障害者雇用における精神障害者とは精神障害者保健福祉手帳の所持者となり

精神障害者保健福祉手帳の対象となるのは、

法律上「精神疾患を有する者」となっております。

うつ病で手帳を取得する条件

具体的に、

統合失調症や躁鬱病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質性精神病等その他精神疾患の全てが対象となります。

この中で申請の対象となるのは、

「精神疾患の初診日から6ヶ月以上経過し、その精神疾患により日常生活に制限がかかっている人」

となり、この日常生活に制限がかかっている程度により取得の是非が決定されます

詳しい審査基準などは、以下の記事をご覧ください

精神障害者雇用の対象者

企業による精神障害者雇用の対象となるには、

原則、前述の精神障害者保健福祉手帳の所持が必須となります。

 

企業は、43.5人に1人の割合で障害者を雇用する義務を負います(障害者雇用促進法43条第1項)

“民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。”

参考:厚生労働省「障害者雇用率制度

 

毎年6月1日に、この雇用数が守られているか報告する必要があり、

違反すると一人につき毎月5万円の障害者雇用納付金及び、企業名の公表が行われます。

参考:宮城県「障害者雇用率の達成と障害者雇用納付金

従って企業側としても、法定雇用率の算定に精神障害者保健福祉手帳が必要なため

障害者雇用の要件として手帳所持が必須となります。

精神障害者雇用の現実

それでは、時点でこの精神障害者雇用の実情を解説していきます。

現在、全国で精神障害者が20万人、発達障害者が3万9,000人の方が障害者雇用として働いています。

では実際に、精神障害者の方で今企業で働いている方の勤続年数や給与、雇用率などの現況を解説していきます。

調査に当たっては、厚生労働省の調査データを参照しております。

また、障害者の雇用実態調査は5年に一度行われ、精神障害者の雇用が義務化された令和5年度のデータに関しては、今年度実施中です。

来年の6月頃入手予定ですので、今回は平成30年のデータ等を元に解説致します。

参考:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査結果」

精神障害者の正社員の割合と平均勤続年数は?

まずはじめに気になる所は、正社員として企業が雇ってくれているのか?

という点ですが、正社員の割合は約25.5%となっております。

精神障害者の正社員率

4人に1人は正社員という計算になりますが

なぜ正社員率が低いか?については、精神障害を持つ方が短時間労働を希望するケースが多いという理由があります。

週の30時間以下の短時間労働者が半分以上(53%)となっておりますので、週30時間以上の雇用契約で働いた方の半数以上は正社員として働いている事になります。

 

ただし、発達障害の方となる少し状況が異なり

正社員率は21%、30時間以上働いている割合は精神障害より高く約60%となっていますが

約3割の方しか正社員として働けていない事になります。

理由としては、データの集計日である平成30年の時点ではまだまだ発達障害の認知は進んでいませんでしたので

発達障害の認知が進んだ令和5年では少し状況が異なると思います

 

実際に私が、ここ数年で支援を行なっている中でも、状況は改善されているかと思います。

 

精神障害者雇用の平均給料はいくら?

次に気になる点が、給与の問題かと思います。

こちらは12万7000円となっておりますが、

精神障害者の平均給与

これは短時間労働も含めた平均給与となっておりますので

月30時間以上働いている方では約19万円となっております。

これを正社員である40時間労働とすると月給25万円ほどになるため

正社員で働く分には、一般と大差はないかと思います。

さらに、障害年金を受給している方に限ると

20歳以上で精神疾患になり、障害年金を取得した場合は

所得による減額等の制限は一切なく満額受給できますので、不自由なく生活していけるかと思います。

参考:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等

発達障害の場合も平均は12万7000円と同じですが、

週30時間以上労働されている方に関しては、16万4000円と精神障害に比べて2万5000円ほど低くなっております

精神障害者は採用されない?

イメージとして、精神障害者手帳を取得して障害者雇用を目指した場合、本当に採用されるのかになる所かと思います。

結論として、年々採用数は大幅に増加しているため

精神障害者雇用の推移

むしろ採用されやすいかと思います。

こちらは令和3年とかなり新しいデータで、

民間企業で雇用されている障害者約60万人のうち、約10万人は精神障害者であり

障害者雇用の精神障害者の割合

対前年比110%の増加率となっております。

もっとも障害者雇用数の多い、身体障害者では対前年比100.8%とほとんど横ばいのため

民間企業が精神障害者の雇用にかなり力を入れていると言えます。

 

さらに公務員の方でも精神障害者の枠があるためさらに多くの方が精神障害者雇用で活躍している事になります。

それでは、この背景を解説していきたいと思います。

参考:令和3年 障害者雇用状況の集計結果

なぜ精神障害者雇用は義務化された?

では、なぜ精神障害者の雇用がこれほどまでに増加しているのかをその背景を解説していきます。

 

それは、平成30年4月1日より始まった障害者雇用義務の対象として精神障害者が加わった事にあります。

これにより、助成金などを活用しながら精神障害の雇用を促進していく事ができ

さらに

制度開始当初、障害者雇用のカウントの方法が精神障害者を雇用する事に有利に働きました。

具体的には、週40時間未満で働く精神障害者も1.0とカウントして良いという経過処置です。

参考:障害者の法定雇用率の引き上げについて

 

もう一つ考えられるのは、就労移行支援などの就労支援施設の充実です。

就労移行支援とは、主に雇用を望む障害者の方に

就労の支援を行う施設ですが、

2006年(平成18年)の開始より、精神障害の方の利用により支えられています。

精神障害が就労移行支援を牽引しているグラフ

 

それに合わせて、間口を拡充しようと

平成30年4月より始まる、精神障害者雇用の義務化に繋がっていきます

参考:障害者の就労支援について

精神障がい者の雇用率は?

次に企業はどの程度、障害者を雇用しなければならないか?という点について

現状、令和5年時点で2.3%となっております。

この数字は令和6年で2.6%、令和8年で2.7%と段階的に引き上げられていきます。

精神障害者雇用の雇用率の推移

障害者雇用の雇用率という計算の方法ですが、

まず、従業員数が43.5人以上の会社は必ず障害者雇用しなければなりません

つまり、雇用率の2.3%という数字は従業員数×2.3%という数だけ障害者雇用する必要がありますので

各企業は43.5人に一人づつ障害者を雇っているわけです。

参考:労働政策審議会障害者雇用分科会「令和5年度からの障害者雇用率の設定等について

精神障害者は採用されない?

では、障害者全体のうち

「精神障害者は採用されにくいのではないか?」

と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか?

そんな事はないと断言できます。

 

まず数字として、年々精神障害者雇用の数のみ110%ずつ増加しているという現状があります。

参考:令和3年 障害者雇用状況の集計結果

 

さらに、前述の就労移行支援でも精神疾患や精神障害の就職支援を専門とした事業所もあり

こちらでも、様々な職業において非常に多くの実績を出しています

また、私自身も精神障害の就労支援を行ってきましたが

最近では、企業の合同面接会も積極的に行われ活躍の場も大きく広がっています。

積極的に情報を集めて就職活動の行う事で

希望の給与や待遇で働け、活躍の場も大きく広がっていきます。

精神障害者の退職率は?

それでは、実際に精神障害の方が障害者雇用で働いたとして

退職率の方を解説していきます。

こちらは1年単位で精神障害者の定着率は49.3%となっており、身体障害者の71.5%と比べると

1年で半数以上がやめてしまう結果となります。

精神障害者の1年退職率(身体障害者と比べる)

特に最初の3ヶ月で30%の方がやめてしまっています。

これらの理由として精神障害特有のものが、以下のようなものとなっております。

ここにボックスタイトルを入力
  • 職場の雰囲気・人間関係が合わない
  • 疲れやすく体力が続かなかった
  • 症状が悪化(再発)した

やはり、精神障害の場合

症状の状態や体力面の問題、そして環境の問題が重要となっております。

 

精神障害者の退職率を改善する唯一の方法

しかし、この49%という高すぎる退職率は、ある一つの事で大幅に改善することができます

以下のデータより、

障害者雇用の前に就労支援施設などを利用せずに就職すると

1年経過後の退職率は54%となりますが、

しっかりと就労移行支援等を利用する事で72.7%まで改善されます。

就労移行を利用した際の退職率

グラフ:厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」36ページを元に作成

退職率が下がる理由は大きく3つが考えられます。

一つ目は、症状を抱えながら働くにあたりしっかりと訓練と自己理解が行える点です。

訓練によりしっかりと体力をつけた上で望めるだけでなく、自身がどのような時に症状の影響を受けるのか?

などを把握できることで退職率の低下に繋がります。

 

二つ目は、職場探しを就労支援施設と行える点です。

しっかりと実績のある就労移行支援では、優良な企業の情報をたくさん把握しています。

また、障害者雇用の面接には、就労パスポートや特性の説明など独自の流れが存在します。

(後ほど解説いたします。)

それらも含めて最新の情報を踏まえたキャリアスタッフと連携する事が企業選定においては重要となります。

 

三つ目は、就労支援施設側がしっかりと企業側と情報共有や連携が行われている点です。

就労移行支援などを利用して就職する事で就労定着支援というサービスを利用できます。

これは、就職後に職場にしっかりと定着できるように会社訪問などを通じて、企業側や本人のサポートに入ってくれます。

これにより、業務や人間関係のミスマッチを防ぐ事ができます。

また、もう一点重要なのが就職する企業規模です。

このように企業規模が50人未満の企業では1年間での継続率が46.9%と乏しく低いです。

企業規模で見た障害者の1年継続率「障害者雇用の現状等33ページ」

理由として、このような企業では障害者雇用するのが初めての場合も多く、また障害者を雇用する土壌も整っていないためです。

はじめて障害者雇用を目指す場合は、なるべく従業員数の多い企業を利用すると良いでしょう。

参考:厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」平成29年9月20日 P36ページ・P33ページ

精神障害者の退職までの勤続年数

次に退職までの勤続年数を解説していきます。

平成30年のデータでは精神障害者は3年2ヶ月となっており

身体・知的と比べた時の精神障害者の平均勤続年数

他の障害者雇用と比べると

身体障害者10年2ヶ月、知的障害者7年5ヶ月となっておりますので

かなり短く感じると思います。

 

しかし、数字だけ見るとそう感じますが

当然ですが、新規の雇い入れの数が多いほどこの平均勤続年数は短くなる傾向にあります。

(新規で雇いれると、短い年月でカウントされてしまうため)

特に、精神障害者の場合は毎年110%づつ雇用率が増加しており

毎年10%が1年未満の方が計算に入ってしまうため、この傾向は仕方ないと言えます。

精神障害者に向いている職業は?

それでは、精神障害者の向いている職業という点で解説していきます。

現在、障害者雇用に従事している精神障害者の方でもっとも多いのがサービス業(30.6%)、次いで事務業(25%)、販売の仕事(19.2%)となっております。

精神障害者の職業トップ3

1位のサービス業については、教育関連や情報通信、医療福祉なども含まれますのでその方が辿ってきた経歴によって活躍の場も多いと思います。

また、事務職についても人に接する職業にストレスを感じて、転職する方が支援を行っていて多い印象です。

販売の仕事も逆に人と接する環境が逆に良い方もおられる印象です。

このように、精神障害者だからこの職業が間違いないと画一的に語れるものではなく

自身の症状によってどのような環境を選ぶのかが、向いている職業を探す第一歩と言えます。

精神障害者雇用の利用方法

それでは、実際に精神疾患をお持ちの方が

精神障害者雇用を利用する場合に

どのような順序を踏めば良いか解説いたします。

また、これまでの説明も含めて、

もっとも退職率が低く就職する方法での解説になります。

精神障害者雇用4つのステップ

ステップ1 精神障害者保健福祉手帳の取得(必須)

精神疾患の方が障害者雇用を検討した時、まずはじめに行う事は精神障害者保健福祉手帳

取得条件としては、初診日から6ヶ月以上経過

精神疾患により能力や社会生活の制限がかかっている事が条件となります。

精神障害者手帳3級対象者

より詳しい審査基準は以下の記事をお読みください。

障害者雇用は精神障害3級から利用できる?

ご質問にいただく事で、精神障害者保健福祉手帳3級は障害者雇用を利用できるのか?

という点ですが、もちろん利用できます。

しかしながら、精神障害者保健福祉手帳3級の場合は障害年金を受給できない方も多いため

(精神障害者保健福祉手帳3級の範囲は障害年金3級の範囲よりも広いため)

待遇面なども勘案しながら障害者雇用を選択すると良いでしょう。

ステップ2 就労移行支援や地域障害者職業センターの利用(推薦)

いきなり、ハローワークの障害者枠や障害者専門エージェントを利用して応募するのも可能ですが、

障害者雇用の就職の場合、エントリーシートと合わせて

就労パスポートや発達障害であればナビゲーションブックなど、

特性理解に関する独自の応募書類が多数存在します。

そのため、可能であれば就労移行支援の利用、難しいのであれば

地域障害者職業センターなどを訪れ一緒に作成していくと良いでしょう。

参考:「地域障害者職業センター一覧」

ステップ3 精神障害者枠の就職活動(必須)

実際に障害者エージェントや就労移行支援、ハローワークの障害者枠を活用して

応募していきます。

この時、通常の就職活動と異なるのは

エントリー時と面接時点で、精神疾患に関する特性の説明を多く求められる事です。

 

例えば、書類選考時に利用する就労パスポート(発達障害であれば、ナビゲーションブック)には、以下のような事柄を記載します。

就労パスポートで記入するもの
就労パスポートに記入されるもの
  • 体調管理と希望の働き方(勤務時間やストレス、休暇)
  • コミュニケーションの手段
  • 作業の正確性
  • 仕事上のアピールポイント
  • 職歴や就労支援機関での経験

一人で作成する事も可能ですが、原則、就労移行支援の担当者や地域障害者職業センター(しゅうぽつ)などの外部の方と一緒に作成していきます。

また大手企業では当然、就職試験(SPI)などもあるため必ず試験の有無を確認し、就労移行支援を利用するのであれば、過去の傾向などを入手し対策するようにしましょう。

また、書類選考を通過し、面接に進んでも必ず特性についての質問があります。

書類面だけでなく、口頭でも自身の苦手な事、得意な事を説明できるよう準備が必要です。

ステップ4 職場定着支援(又は就労定着支援)

晴れて就職が内定したら、定着支援というサービスが利用可能です。

就労移行支援を利用しているのであれば、必ず就労定着支援という

「しっかりと職場に定着できているか?」

職員が本人や会社の間に立ちサポートを行ってくれます。

障害者雇用関係図(企業・障害者・外部機関)

 

また、地域障害者職業センター経由でも、定着に関して企業側に働きかけてくれます。

精神障害者の定着率が良い企業は、この外部機関との連携がうまくいっている印象です。

精神障害者を雇う事による企業側の利点

最後に、本人だけでなく

これから障害者の雇用を考えている企業の方に向けて

精神障害者をはじめとする障害者を雇用するとどのようなメリットがあるか解説していきます。

精神障害者雇用に関連する助成金

まず、はじめに雇用することにより支給される助成金を解説していきます。

精神障害者雇用の助成金の説明をする前に、雇い入れた後に取り返しのつかなくなる条件として

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること

というものがあります。

企業側の助成金の受給で気を付けること

これだけは雇用してしまってからでは取り返しがつかないので、必ず確認するようにしてください。

それでは、助成金の紹介を致します。

代表的な助成金は

特定求職者雇用開発助成金

条件としては、

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  • 雇用保険に加入し、雇い続ける事ができること

が挙げられます。

 

支給額として、

45歳以上の重度精神障害者であれば240万円

通常の精神障害者であって、20時間〜の短期労働者であれば、80万円が支給されます。

障害者雇用にまつわる助成金

また発達障害者の場合も、条件は同じで

中小企業であれば、フルタイム労働者で120万円

短期労働者であれば80万円となっております。

 

障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

条件としては、前述の特定求職者雇用開発助成金と同じですが

雇い入れ時に週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし精神障害者を同期間中にこれを20時間以上にする必要があります。

支給額は、対象労働者が精神障害者の場合

月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間)

となります。

 

代表的な助成金を挙げましたが、他にも施設の設備に関する助成金やキャリアアップ助成金などがあります。

 

企業側としては、積極的に活用していきたいです。

参考:厚生労働省「障害者を雇い入れた場合などの助成

 

精神障害者雇用で働いた場合の企業側の配慮

現在、精神障害者を雇用している企業では

どのような配慮を行ってくれているのか見ていきたいと思います。

もっとも多いのは、やはり短時間勤務等勤務時間への配慮で70%もの企業が行っています

また、休暇を取得しやすくする勤務中の休憩を認める等の配慮も50%

特徴的なのが、精神障害者を雇用している企業は

無理せず働ける環境作りを行っている事が伺えます。

 

特に症状により、一般就職では休養の少なさを感じている方は積極的に精神障害者雇用を利用すると良いかと思います。

参考:P29 平成 30 年度障害者雇用実態調査結果

精神障害者雇用の課題

最後に精神障害者雇用の課題について、解説していきます。

まず一つ目に、一部の業種では精神障害者雇用が進んでいない現状があります。

特に、教育・学習や建設、運送業界においてはもっとも精神障害者の雇用が進んでおらず、

理由としては業種特有の仕事の進め方と精神疾患へのイメージにより採用が進んでいない現状があります。

例えば、教育業界の課題としては例えば、教育業界の関係者では以下のような意見があります。

進学塾での仕事は、定期テストへの対応、「成績を上げて欲しい」という保護者からの要望や
クレームなどプレッシャーがかかるため、メンタルヘルス不調になる社員もいる。年度途中に退職する人が毎年複数名いる。
社歴が浅い人は仕事のストレスから、年齢が上がってくると家庭の問題(子どものこと、親の介護等)からメンタルヘルス不調になる。

真面目で成績優秀な人が体調を崩す例が多い。以前はメンタルヘルス不調になったら「会社に迷惑をかけてはいけない」と退職するのが当たり前であったが、今はそういう時代ではない。折角採用して教育した社員が辞めてしまうの
は経営的にも損失である。

引用:精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方策に関する研究:51ページより

やはりプレッシャーのかかる業態であれば、採用担当者も避けているため

このような現状では、ジョブコーチの派遣やトライアル雇用などを積極的に企業認知を進めていく必要性を感じます。

二点目は、精神疾患へのイメージの問題です。

特に都市圏以外の地域での採用担当者のイメージです。

これは、私が精神障害者の雇用支援を行っていた中での経験談になりますが、

都市圏の企業では、精神障害者雇用の理解が大幅に進んでおり採用も積極的に行っております。

それにたいして、地方の製造業の採用担当者などとお話しをすると

精神疾患へのステレオタイプとして

すぐ休む」「急に来なくなる」などを懸念している現状があります。

データしても、前述の企業規模が50人未満の企業では1年間での継続率46.9%と乏しく低いです。

この課題に対しては、就労移行支援など就労支援施設が、中小企業向けに職場定着支援をしっかりと行い、

精神障害者雇用へのイメージを覆していく必要があります。

精神障害者雇用の現実まとめ

いかがでしたでしょうか?

精神障害者雇用に悲観的な肩も今回の記事で、印象が大きく変わったかと思います。

この記事を書いている途中も、精神障害者雇用の環境はどんどん良くなってきております。

利用しようか悩んでいる方は一度、地域障害者職業センターや就労移行支援を訪ねてみてください。