リワーク

リワークは意味ない?利用しなかった場合の復職率も紹介

リワークは意味ない?

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リワークは意味ない?

意味のあるリワークはどんなの?

復職を考えたときに、職場の勧めなどでも導入が増えているリワーク

利用を考えている方も多いのではないでしょうか?

また、現在リワークを利用していて効果を実感できず悩んでおられる方も多いと思います。

 

今回は、リワークで正しく効果を出す方法や通ってはいけない時期。

また、現在リワークは多種多様となってきている中でリワークは自分で施設を選べる時代となっています。

そこで、楽しく意味のあるリワークの紹介なども行なっていきます。

 

\ この記事の監修者 /
仮屋 智之顔写真
就労移行支援事業所で支援業務に携わり、精神疾患や障害をお持ちの方のメンタルヘルスケアやキャリアアップのお手伝いをしています。

リワークの本当の意味(リワークなしで復職した場合)

では、このままリワークが意味ないと感じてリワークなしで復職した場合と、リワークありで復職した場合はどうなるのでしょうか?

日本産業精神保健学会の報告によると

リワークプログラムを利用した人とリワークを利用しなかった人で復職後の就労継続率を比較しました。

そして、復職後1000日後時点の就労継続率リワークを利用した場合は7割

リワークを利用していない人たちではなんと2割の人しか働き続ける事ができませんでした。

リワークの有無による3年後の就労継続率

(出典:特集「第19回日本産業精神保健学会」,2012,vol20,No4 335-349ページ参照)

 

従って、リワークは決して意味のないものではなく、正しいタイミングで正しいリワークを受ける事で働き出してからの自分にとって有益な時間となります。

また、リワークを利用した場合の、復職後1000日後の時点で就労継続率はリワーク利用者で7割とありますが、

リワークは復職したら終わりではなく、もし改めて再発により休職してしまったとしてもフォローの期間は続きます。

以下の調査によると、リワーク利用後、復職し再発によりまた休職してしまった場合でも

フォローを行う事により、最終的には約9割の方が復職に成功しています。

リワークWithYouの紹介バナー

さらにリワークを使用しなかった場合再休職リスクは1.89倍とのデータもあります。

リワークを利用しなかった場合の休職リスク

従って、適切なリワークプログラムを受けることでほぼ確実に復職に向かう事ができます。

参考:厚生労働省障害者対策総合研究事業「うつ病患者に対する復職支援体制の確立

うつ病患者に対する社会復帰プログラムに関する研究」

 

リワークに行きたくない真の理由

リワークに行きたくない

この記事をご覧になる方は、現在リワークに通っていて効果を実感できなくて意味がないと悩んでいる方かと思います。

また、これから通う事を勧められているけどリワーク施設のプログラムを見てもどうも意味があると感じられない

 

確かに、ほとんどのリワーク施設では単純な軽作業を行なっていたり

全く異なる疾患の方に同様のプログラムを行ったりしているため、退屈に感じる場合も多いかと思います。

 

しかし、現在

東京や大阪を中心に様々な独自のプログラムを行っているリワーク施設も数多く存在しています。

自分のレベルと周りのレベルを照らし合わせてみて、明らかにリワークプログラムの内容が自身のレベルとあっていないと感じる時は

民間のリワーク施設も検討してみても良いかと思います。

その場合は、自分と同様の疾患のリワークの実績などもあらかじめ施設側に聞いたり体験をおすすめします。

リワークの目的は、

「どういう環境が自分にとって危険なのか?」

「なぜ、自分はそういう症状が出たのか?」

自己分析し、新しい物事の捉え方を身に着け対象法を学ぶ事にあります。

新しい物の見方

例えば、認知行動療法などの集団プログラムでは

集団の中で新しい物事の捉え方を試す機会となります。

リワークに通う中で新しい気付きがあなたにない場合は、

これまでと同じ対処を行ってしまい、同じ状況になりかねません。

ですので、リワーク施設を選定する時

新しい物事の捉え方を身につけられるか?

という基準で探してみるのもおすすめします。

リワークがしんどいと感じる時

リワークを利用する中で開始当初がもっともしんどいと感じます

理由としては、自宅療養を経て休養した体にとって実際に、人と話したりプログラムを遂行していくのはかなりきつい道のりとなります。

ですので、リワークプログラム初期目的は生活リズムを整える事にあります。

また、最初は生活リズムは狂いやすい状況にあるので、いきなりプログラムに参加する事を目的とするのではなく、

自宅療養で狂ってしまった生活のリズムを

起床・就寝・食事」を中心に時間通りに行える事を目的とします。

生活リズムが整って、次の段階では、対人を基礎とする集団のプログラムにいきなり参加するのではなく

個人で行えるような軽いプログラムに参加しこれを、体調が崩れず行えるようになってはじめて集団プログラムの参加を目指しましょう。

リワークプログラムで感じる強い疲労感の正体は、この自宅療養で狂った生活リズムを立て直す段階にあります。

 

リワーク当初は、電車で施設に通ったり半日のプログラムでもクタクタになると思います。

その疲労感から、不安に感じる事もあるかと思いますが

この最初の段階が一番しんどく大事なポイントです。

誰しもが感じる事ですので、焦らずじっくり取り組みましょう

リワークにより悪化リスクがある場合

もっとも注意したい事は

回復期でない状況にも関わらず自己判断でリワークのプログラムに参加してしまう事です。

本来リワークを導入するのに最適なタイミングは十分な休養とストレスから離れる事、そして服薬を適切に行い、急性期から回復期に移行した際です。

もし、自己判断でリワークに参加し、体がしんどいと感じるなら主治医に相談し、それがまだ回復期の判断されないのであれば、十分な休養を取ってください。

リワークが厳しいと感じている

リワークが厳しい

リワーク施設の中には、かなり厳しいプログラムを課している精神科やリワーク施設もあります。

例えば、「週2日以上の遅刻が続くと退所させられるなど…」

まず前提としては、一つの施設で万人にあうリワークプログラムは存在しないという事です。

 

例に挙げたような厳しいリワーク施設でも、卒業生の声ではしっかりと再発せず働き続ける事ができていますし

逆に、かなり優しい人の暖かさで支援を行う施設もあります。

今、リワークに通っていてあまりのも厳しすぎると感じるのであれば、施設の変更を考えるべきですし

逆に、職員が優しすぎて行かなくても何も言われない状況であれば少し厳しいところに変えてしまうのも良いと思います。

その時々の自分に合わせた施設を選択するのが解決策の一つです。

監修者の見解として、またこれまでリワーク支援に関わる中ではそこまで厳しくする必要はないと感じています。)

リワークでの復職プログラムの例

ここまででリワークの基本的な意味や、自身にとって意味のあるリワークの選び方を知っていただけたかと思います。

リワークが確かに意味のあるものと感じていただいた方は、どのようなプログラムで行っていくのか気になるところかと思います。

 

そこで、基本的なリワークプログラムをステップ形式でご紹介していきます。

それぞれの段階の目的をあらかじめ明確に把握にしておくことにより、より主体的に取り組みリワークの意味を実感する事ができるでしょう。

リワークのステップ

ステップ1生活リズムを整える

生活リズム

休職期間中の自宅療養で衰えた体力や、崩れたリズムを取り戻す段階となります。

「就寝・起床・食事」の基本的なリズムを取得する事により、その後リワークに参加するベースの体力を獲得してきます。

また、前述の通り体力が衰えているこの時期がもっともしんどい時期となります。

ステップ1の目的 

リワークに参加するベースの生活リズムを取り戻す。

 

ステップ2 なぜ休職に至ったのか自己分析を行う

自己分析

「なぜあなたが休職に至ったのか?」

自己分析を行う事により自らの課題を明らかにしていきます。

まず徹底的に自分の分析を行いどのようなストレスに弱いのか?

また、どのような反応を見せるのか?など休職に至った当時のことを思い出しながら自身の傾向を探っていきます。

ステップ2の目的 

自己分析を通じて自身の傾向を知る。

ステップ3 プログラムを通じて、新しい対処法を考える

対処方法

自己分析を通じて、自身の傾向が判明したらこれまでとは異なる新しい視点で対処法を知ります。

認知行動療法などによる、認知形成の変更やグループワーによる新しい対処方法のテスト、

モチベーション管理法、コミュニケーションスキルを磨く事も含まれます。

ここで重要なのは、自己分析を通じて知ったこれまでの自分とは異なる対処法を身につける事です。

その手法をプログラムによって身につけていきます。

そうする事により、復職後の再発防止へとつなげていきます。

ステップ3の目的 

これまでとは違う新しい対処法を身につける。

リワーク期間と費用

これからリワークに通う事を考えている人にとってはどの程度の期間リワークに通う必要があるのか気になるところかと思います。

日本うつ病リワーク協会によると平均3〜7ヶ月と言われていますが、

期間は施設のプログラムの内容や体調により異なります。

早く復帰したい気持ちはわかりますが

やはり、無理なく確実に一つ一つの目標をクリアしていく事が重要となります。

焦らず、じっくりと取り組みましょう。

リワークに通うにあたり詳しい費用は、こちらに執筆しておりますので

ご覧ください。

退職してしまった場合リワークは利用できるのか?

原則、リワークは職場復帰を目的とするプログラムであり、

以下のリワークでは、原則休職者しか利用する事ができません。

休職者のみが利用できるリワーク
  • 医療リワーク
  • 障害者職業センター(公務員は利用不可)

しかし、自立訓練や就労移行支援型のリワークでは精神疾患により退職してしまった方に対しての就職支援のプログラムなども提供しております。

退職者も利用できるリワーク
  • 就労移行支援型のリワーク
  • 自立訓練型のリワーク

ですので、休職し既に退職してしまった方は就労移行支援や自立訓練などの福祉型のリワークの利用をおすすめします。

また、補足として公務員で休職中の方は地域障害者職業センターのリワークを受ける事が出来ません。(雇用保険適用事業所に向けたリワークのため)

公務員の休職者が利用できるリワーク
  • 医療リワーク
  • 就労移行支援型のリワーク
  • 自立訓練型のリワーク

公務員の方のリワークについてより詳しくはこちらをご覧ください。

楽しく続けられるリワーク施設を

 

リワークに通いだすはじめは肉体的にも、精神的にもヘトヘトになると思います。

何度も繰り返しになりますが、リワークは土台の生活リズムを作る最初が一番しんどく感じます。

満員電車に乗る人々を見て

「私はこんな事を本当に毎日やっていたのか」

驚く事も多いと思います。

しっかりと続けるためにもそれぞれのフェーズで目的を持ってプログラムに臨む事や、

より自分が魅力的に思えるプログラムを提供しているリワーク施設を選ぶのも一つの手です。

これを読む皆様がより効果的にリワークを利用できたら幸いです。